鉄道博物館〜埼玉県さいたま市大宮区〜


○解説

 鉄道博物館は交通博物館に代わって、JR東日本関連財団である東日本鉄道文化財団が2007(平成19)年10月14日にオープンさせた、鉄道の歴史と鉄道の技術と仕組みをテーマにした博物館。実物展示車両36両、日本最大の鉄道模型ジオラマ、5種類の運転シミュレータなど魅力的な設備を擁し、鉄道を取り扱う博物館の中では文句なしで日本最大のボリューム。今回は、展示車両を中心に、一挙ご紹介したいと思います。
 2018(平成30)年7月5日に新館として「南館」がオープン。400系先頭車や実物同様に製造されたE5系先頭車などが展示されたほか、鉄道の歴史を紹介する「歴史ステーション」などが誕生。一方、これまでの本館「ヒストリーゾーン」は実物車両重視の車両ステーションへ展示構成が変わるなど、施設内容が大幅に変化しています。
(解説&撮影:裏辺金好)

○場所



○エントランスゾーン


鉄道博物館への通路
 交通博物館時代の、旧万世橋駅の赤レンガをイメージした壁があります。

D51 426号機(カットモデル)
 鉄道博物館入り口横に展示。
交通博物館時代は、0系先頭車のカットモデルと共に、交通博物館入り口脇に鎮座していました。

167系急行型直流電車(モックアップ)
 165系をベースに修学旅行向けに誕生した車両。こちらの車体は、交通博物館での展示を目的に、日本車輌製造が実車同様の部品を使用して先頭部の一部を造ったもので、本線上を走行したことはありません。
 鉄道博物館では当初、ノースウイングで展示されていましたが、現在はエントランスゾーンで展示されています。

台車
 鉄道博物館通路に置かれている、車両の台車。


シミュレータホール
 D51形式蒸気機関車のシミュレータ。交通博物館に展示されていたD51 426キャブ部分を使用したもので、実際の蒸気機関車の運転操作と同様の体験が出来る、日本唯一、世界的にも例を見ないと思われる施設です。 (※写真1枚目は南館オープンに伴う車両ステーション移設後の姿。2名目は従来の風景。)

○車両ステーション1階(日本の鉄道黎明期)





150形蒸気機関車(1号機関車) 【国指定重要文化財/鉄道記念物】
 交通博物館時代からお馴染みの車両。日本で鉄道が開業した際、最初に用意された10両の蒸気機関車のうちの1両。イギリスのバルカン・ファウンドリー社製で、新橋〜横浜の約29kmをを53分で結びました。
 1911(明治44)に九州の島原鉄道へ売却されましたが、1936(昭和11)年に交通博物館に譲渡されました。鉄道博物館では、当時の新橋駅の情景を再現した上で展示されています。
(※写真1枚目は南館オープン後。2名目は従来の展示風景。)

1号機関車運転台

明治期の客車(復元)
 1号機関車に連結されている3等客車。

開業当時の客車(復元)
 上に乗っているのはリアルな人5形。油灯ランプを挿入する様子が再現されています。自然に動くので一瞬驚きます・・。

開業当時の客車(復元)

佐賀藩精錬方製造蒸気車雛形(複製)
 1855(安政2)年、佐賀藩の中村奇輔らが製作した模型の蒸気機関車。

ペリーが献上した蒸気車模型
 1854(嘉永7)年2月、ペリーが2度目の来日をしたときに幕府に献上した蒸気車の模型。電信機や時計など、ほかの持参物と共に、優れた技術が欧米にあることを示し、交渉を優位に進めようと考えたそうな。

7100形蒸気機関車 7101号機「弁慶」【鉄道記念物】
 1880(明治13)年、北海道初の鉄道路線である幌内鉄道の手宮〜札幌が開業するのに伴い、アメリカから輸入した8両の蒸気機関車のうちの1両。アメリカンスタイルのデザインが特徴です。

開拓使号客車 コトク5010 【鉄道記念物】
 幌内鉄道開業時に使用された客車で、アメリカのハーラン・アンド・ホリングワークス社で製造されました。なんと革製の内装、転換クロスシート、水洗洋式トイレを備えた超豪華な車両で、明治天皇も使用されたことがあります

1290形蒸気機関車 1292号機「善光」【鉄道記念物】
 1883(明治16)年7月、日本鉄道が上野〜熊谷で開業しました。このときに投入された蒸気機関車で、イギリスのマニングウォードル社で製造されました。名称の由来は、現在の埼玉県川口市の善行寺裏手の荒川から陸揚げされたことから。
 日本鉄道は日本初の私鉄で、岩倉具視をはじめとする華族が中心となって発足しました。現在の東北本線(上野〜青森)、高崎線、常磐線などを開業させ、1906年に国有化されました。


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