第七話 OH!GIRL

 原付にのって公道を走った・・・。
 しかし、友人に誘われない限り、原付にのるつもりはない・・・。
 ましてや、バイクの免許をとることなど、金の無駄。

 原付にのることは、やはり苦痛のままだった。一人で原付にのってでかけるなど恐くて恐くてできなかった。バイク自体にも全く興味はなかった・・・。


 免許を取って半年・・・。


 弟がB´zのアルバム・ミックスチャースタイルというのを買ってきた。


音楽には全然興味ない(アニメ・ゲーム音楽しか興味なかった)私は別に気にもとめなかった。


 私はそのころバイトをしていた。長期休暇ということもあり、昼の十二時くらいから夜九時くらいまでやっていた。朝はスーパーロボット大戦のCDをカセットにダビングしたものを目覚ましにセットしていたので、それを聞いて起きていた。


 ある日、目覚ましの音楽が、スパロボではなく、なぜかミックスチャースタイルだった。おそらく弟が前日、ミックスチャースタイルを聞いたので、それが目覚まし曲としてセットされてしまったのだろう。ウチのラジカセのタイマー再生は最後に使ったメディアが選択される仕組みになっていた。


 普段、だいたい三十分くらいは目がさめてから布団の中でゴロゴロしてスパロボの曲をきいているので、わざわざ音楽を止めにいくのも面倒くさく、なんとなく聴くことにしたのだが・・・。


一曲目、「だからその手を離して」


「いい・・・。こいつはいい!!」
 ノリが良いロック調の曲はアニメの曲に通じるものがあるせいか、私は即座に気にいってしまった。次々に流れる曲を聴いていく・・・。ミックスチャースタイルの曲の全部が全部を気に入ったわけではないが、中国風な曲調の「JOY」(この歌の歌詞を当時描いていた漫画のキャラクターの台詞に流用するくらい気にいっていた)やロック調で歌詞もパワーのある「MOVE」等、私の感性に触れる曲が非常にたくさんあった。ある意味カルチャーショックを受けた。でも、弟に聞いていることがバレるといやなので、弟がいないところでコッソリ聞いていた。


 ある意味、弟が自分とは違ったスタイルというか趣向をしていたお陰で新しい発見をすることができた。思えば、弟が三国志についてある程度の知識や好意を抱いているのは、私が三国志を好きなので、弟に三国志ゲームをやらせたり、本を読ませたり、クドクド持論を論じたりしていたためであろう。逆もまたしかりなのだ。


 ミックスチャースタイルの三曲目(確か)に「OH!GIRL」という曲がある。この曲はあらゆる意味で私に影響を与えた。


ネットで「OH!GIRL」と入力して検索すると、恐らく準アダルトサイトみたいなのが、やたらに出てくる(私も一度やって大失敗した。候補は一万件くらいあったような)と思われる。


 それはさておき、この歌の歌詞の内容は、「自分が大好きな彼女に会うためにオートバイを走らせている」というものである。特に心に響くのは、ラストのサビのくだりである、「彼女は非常にモテるんだけど、他の男に誘われても誘いについていかない。そんな彼女が大好き」といったくだりのところである(歌詞をまんま使うのはマズイと判断したので、純粋に内容を文章化してみました)。


 この歌・・・いい・・・と思っていると、「なんかオートバイっていいかもしれない」と思うようになっていった。ただ、自分はのることはないだろうなと思いつつ。この頃、ヒーロー漫画を描いていたので、やはりヒーローはバイクだろう(特撮的発想)に基づき、バイクにたいして嫌悪感から、憧れのようなものを感じるようにだんだんとなっていった。


 だが、あいかわらず原付は恐くてのれなかったし、「スクーターはバイクではない」みたいな発想があったようにも思えた。


 余談だが自分の大学の音楽サークルがたまに発表会をやっており、何気なくとおりかかったときに、ちょうど「OH!GIRL」を歌っていたのだが、はっきりいって上手くなかった・・・。大勢の聴衆がいて緊張していたためであろうか? それとも、無理やりボーカルにされたのか? まあ、どちらにせよ、この曲を選曲してくれる人がいただけで嬉しかったのだが。


 そして、ここからバイク脳内妄想の一年がはじまるのであった・・・。


棒