第四十八話 急・制・動・再び
二輪教習は四輪教習と違って路上教習がないので、第二段階でも第一段階と同じコースを走る。また、卒業検定用コースは第一段階のうちから練習し、走れるようになっているので、第二段階では卒業検定に合格出来るように、ひたすらコースを走って練習をする形になる。
「急ブレーキ」教習の本来の内容としては、前輪のみでブレーキをかけることと、後輪のみでブレーキをかけることを行い、前輪と後輪のブレーキを連動させてブレーキをかけないと、どうして危ないかを体験させるというものである。
私は教官に、とりあえず通常通りの急制動をやりなさいといわれ、いつも通り急制動レーンに進入し、急制動をやってみせた。急制動は時速40キロでブレーキラインに進入し、ブレーキラインを越えたらブレーキをかけ、ブレーキラインから11メートル地点までに停止しなくてはならない。私は急制動のコツがイマイチつかめていないので、いつも通り、前輪・後輪ともに強くブレーキをかけて、半ばタイヤをロックさせながら停車させた。
「・・・その急制動じゃあ、危なくて教習ができない。私が納得する急制動をやってみせてもらわんと。」
マズイ・・・。今までロックしてでも停車ラインより前でとまるんだと思いやってきたが、ここにきてダメ出しをされてしまうことになろうとは・・・。これも全て「先延ばし」 にしてきた自分の身から出た錆なのだが・・・。
ということで、教官に言われるまま、もう一度急制動に挑む。しかし、やはりロックして停止。すると教官は
「一気にブレーキを握るとタイヤがロックして制動距離が伸びてしまう。あと、ブレーキをかけ始めるとすぐにクラッチを切っているようだけど、すぐにクラッチを切るとエンジンブレーキをきかせることができない。」
と厳しい口調でアドヴァイスをしてくれた。実はこの急ブレーキの教習は私一人で受けているわけではなく、もう一人受講生がおり、二人で受けていたのだ。私がここでモタついているともう一人に迷惑がかかってしまう・・・。今度の失敗は許されない・・・。
私は気を引き締めて、教官にいわれたことを忠実に守りながら急制動に挑んだ・・・すると、なんとかロックせずに停車。しかし、教官の顔は厳しいままだ・・・、
「・・・完璧ではないけど、なんとか納得できるレベルになった。それじゃあ、先に進めよう。」
なんとか認めてもらえたようだ・・・。第三十八話「急・制・動」でも書いたが私は停止線前でとまることに執着し(検定では線を越えたら即失格)、一気に強いブレーキをかけて止まるという頭になっていたのだ。
先ほども触れたが、急ブレーキ教習は前輪ブレーキ、もしくは後輪ブレーキのみを使って停止するという教習である。結局、うまく急制動ができないということはブレーキが使えない、特性を理解していないとみなされ、片方のブレーキだけで停止するという危険なブレーキ教習をやらせるわけにはいかないというわけである。
「前輪ブレーキかけて良かったのに。まあ、でもいい体験になった。」
と言ってくれた。
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