クラス170「ターボスター」 

British Rail Class 170 'Turbostar'


LMのクラス170/5。バーミンガム近辺の非電化路線を担当する。
(撮影:ドロイトウィッチ・スパ駅、Droitwich Spa)

●基本データ

デビュー年 1998年
最高速度 160km/h
製造会社 旧アドトランツ(Adtranz)、現ボンバルディア・トランスポーテーション(Bombardier Transportation)
運行会社 アベリオ・グレーター・アングリア(Abellio Greater Anglia, AGA
ファースト・トランスペナイン・エクスプレス(First TransPennine Express, TPE
ロンドン・ミッドランド(London Midland, LM)
クロスカントリー(CrossCountry, XC)
アベリオ・スコットレイル(Abellio ScotRail, ASR)
運行区間 こちらを参照
編成詳細

製造時
170/1 3連x10本、2連x7本
170/2 3連x8本、2連x4本
170/3 3連x6本、2連x9本
170/4 3連x55本
170/5 2連x23本
170/6 3連x10本

2015年5月に170/3が2連x5本チルターン鉄道に転属しクラス168/3に改造
2015年5月に170/4が2連x4本サザンに転属しクラス171に改造


●全国中の地方幹線で活躍する汎用型ディーゼル車

 アドトランツ(後にボンバルディアと合併)が開発した次世代気動車、通称「ターボスター」シリーズの第二形式。ターボスターは他にクラス170の設計元となったクラス168、更に発展型のクラス171、172が存在する。

クラス170の仕様
 イギリス国鉄が設計したクラス165を進化させた形で登場したクラス168/0をベースにし、新しいデザインの車両前面を採用した。車体はアルミ合金で、動力伝達はフォイト(Voith)式のものを採用。各車両に動力台車と付随台車があり、ドイツのMTU製のエンジンを使用している。電気系統の違いでクラス16Xシリーズとは併結運転ができないが、クラス15Xシリーズとは可能で、輸送力増強のために世代が異なる車両が併結する姿が見られる(特にイングランド中部のバーミンガム周辺)。

 合計122編成が製造され、民営化後に導入されたディーゼル車としては最大規模を誇る。2連と3連の編成があるが、車両数以外に違いはない。車内の配置は普通車が2+2列、そして一等車が2+2列か2+1列の長距離仕様となっている。最高速度も160km/hで速達列車にも用いられるが、車両数の少なさと座席配置のせいで混雑時の運行には向かない。クラス170の派生型はクラス170/1から170/6まで6種類存在するがそれらの差異は内装だけであって、性能的な違いはない。これにより同じクラス170の車両でも運行会社によって重量が約2トンほど違う場合がある。クラス170の前面デザインには二種類あり、ヘッドライトとテールライトが個別の初期型とそれらが統合された後期型が存在する。

全国での運用(地域別)

スコットランド
 同系列を初めてスコットランドに導入したのは国鉄からスコットランドの路線を担当していたナショナル・エクスプレス(National Express)が保有するスコットレイル社(ScotRail)だった。2004年には運行会社がファースト・スコットレイル(First ScotRail)が、そして2015年4月からはアベリオ・スコットレイル(ASR)が後継会社としてクラス170を運行している。ASRは3連x59本を運用しており、国内の鉄道会社としては最多。エジンバラ、グラスゴーとインヴァネスやアバディーンなどスコットランドの主要都市を結ぶ列車を担当。このうち9本は元ストラスクライド交通局(Strathclyde Partnership for Transport, SPT)が発注したものでマルーンとクリーム色の塗装で運行されていたが、現在では全編成がスコットランド国旗をモチーフとした標準塗装にリニューアルされている。

 2015年4月にファースト・スコットレイルのフランチャイズ終了時にクラス170/4が3連x4本サザン(Southern)に転属し、イングランド南部でも有数の非電化路線であるアックフィールド線の輸送力増強が図られた。これらの編成はサザンのターボスターと共通にするためクラス171への改造工事を受け、2016年中に営業運転に復帰する予定。同年内には更に3連x5本が追加で転属する予定だ。

イングランド北部
 2007年にファースト・トランスペナイン・エクスプレス(TPE)はクラス170をサウス・ウェスト・トレインズ(South West Trains)から2連x8編成、更にセントラル・トレインズ(Central Trains)から2連x1編成を入手。計2連x9本を保有していて、マンチェスターとハルを結ぶ列車に充てられいる。この区間はクラス185が担当するはずだったが重量制限や新型車両用のTPEへの政府援助金が少なかったことからクラス170が代用している。しかし2015年5月からクラス170/3が2連x5本がチルターン鉄道(Chiltern Railways)に転属し、クラス168/3に改造された。残りの4本も2016年7月に同社に転属予定である。クラス170/3の穴埋め用にTPEはノーザン・レイルからクラス156を2連x6本をサブリースした。

 一時期クラス170はハル・トレインズがロンドン・キングズ・クロス〜ハル間の都市間特急列車に使用していたが、2005年にクラス222/1に置き換えられクラス170は活躍の場をスコットランドに移した。

イングランド中部
 中部地方ではロンドン・ミッドランド(LM)が2連x17本と3連x6本リースしていて、バーミンガムを中心とする非電化路線の列車を担当する。地方都市間の長距離列車を運行するクロスカントリー(XC)も2連x13本と3連x16本リースしていて、頻繁に停車するバーミンガム・ニュー・ストリート〜スタンステッド空港、そしてノッティンガム〜カーディフ中央系統を運行している。

イングランド東部
 1999年にアングリア鉄道(Anglia Railways)がクラス170を発注し、ロンドン・リバプール・ストリート〜ノリッジやイプスウィッチの都市間列車の運用に入っていた。2004年には運行会社が「one」に代わり、クラス170も受け継がれた。2008年には「one」がナショナル・エクスプレス・イースト・アングリア(National Express East Anglia)に改称し、2012年には運行会社がアベリオ・グレーター・アングリア(AGA)に代わり再びクラス170を継承。AGAは現在クラス170/2を2連x4本、3連x8本リースしていて、イプスウィッチとノリッジを中心としたアングリア地方のローカル列車を担当している。

イングランド南部
 2000年にサウス・ウェスト・トレインズがクラス170/3を2連x8本を発注。クラス159の運用を補完する形で導入され、ロンドン・ウォータールー〜ソールズベリーなどで運行されていた。2006年には8本がクラス158に置き換えられTPEへ転属し、現在サウス・ウェスト・トレインズにクラス170は在籍していない。2003年にサザンはクラス170/7と呼ばれる派生型を2連x6本を発注したが、導入後連結器をデルナー式自動連結器に換装しクラス171/7に改称(詳細はクラス171の項を参照)。

(解説・撮影:秩父路号、2016年3月更新)

●ギャラリー


LM車の普通席。コーポレートカラーである緑を基調としている。基本的にクラス170は長距離仕様の2+2列配置となっている。


ASRのクラス170/4。現在スコットランドで運用されているクラス170は全てスコットランド国旗をモチーフとした塗装に更新された。
(撮影:ノース・クイーンズフェリー駅〜インヴァーキーシング駅間、North Queensferry - Inverkeithing station)

旧ストラスクライド交通局塗装のクラス170/4。こちらは後期型のヘッドライトのデザインを用いている。
(撮影:ノース・クイーンズフェリー駅、North Queensferry Station)


旧ストラスクライド交通局塗装編成の車内。 現在これらの編成の内装は更新された。


旧ファースト・スコットレイルのクラス170/3。
(撮影:ノース・クイーンズフェリー駅、North Queensferry Station)


旧ファースト・スコットレイルのクラス170/4(初期型)。
(撮影:ノース・クイーンズフェリー駅、North Queensferry Station)


旧ファースト・スコットレイル編成の普通席。



こちらはハル・トレインズに運用されていた時に営業していたビュッフェ跡。現在は比較的短い路線を走るので使用されていない。

旧ファースト・スコットレイルが運用していたものの、リニューアルを受けずに旧スコットレイルの内装のままの普通席。

左と同じく旧スコットレイル内装の一等席。2+1列配置でカーテンも備わっている。



XCのクラス170/1。
(撮影:カーディフ・セントラル駅〜ニューポート駅間、Cardiff Central - Newport Station)


XCのクラス170の普通席。


XCのクラス170の一等席。

XCにもクラス170/3の後期型が在籍している。


AGAのクラス170/2。旧oneの塗装を基本としており側面にロゴが入っているだけだがいずれAGAの正規塗装に更新される予定。
(撮影:ケンブリッジ駅、Cambridge)


ノーフォーク州とサフォーク州をまたぐ荒地「ブレックランド(Breckland)」のプロモーション・ラッピング車(AGA)。
(撮影:ケンブリッジ駅、Cambridge)


旧アングリア鉄道の塗装が未だに残っているAGAのクラス170/2。
(撮影:ケンブリッジ駅、Cambridge)


AGAのクラス170の一等席。

AGAのクラス170の普通席。


旧one社の塗装。カラフルなレインボー塗装が特徴的だった。
(撮影:プディング・ミル・レーン駅、Pudding Mill Lane Station)


TPEのクラス170/3。2016年7月には全編成がチルターン鉄道に転属予定。
(撮影:モールデス・ロード駅、Mauldeth Road Station)


TPE編成の普通席。


TPE編成の一等車。2+1列配置でテーブルライトも備わっている。

TPE編成の車イス用スペース。

クラス170の運転台の様子。


2006年まではサウス・ウェスト・トレインズもクラス170を運行していたが、クラス158と入れ替わりでTPEへ転属した。
(撮影:ロンドン・ウォータールー駅、London Waterloo Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
・Today's Railways: Issue 168 (December 2015), "The Turbostar Family"
Scot-Rail.co.uk: Class 170
Southern E-Group: Class 170

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