日本の旅 第9回
湘南新宿ライン
     A trip of Japan No.9 JR Shonan Shinjyuku Line
○湘南新宿ラインの概要
 2001年12月1日のJR東日本ダイヤ改正で誕生。既存の路線を組み合わせて運行される列車の総称で、宇都宮・高崎〜池袋・新宿〜横浜・小田原・逗子と、首都圏を縦断する。開業から約3年ほど経つが、変化し続けており、アップデートも大変?


開業日の湘南新宿ラインの新宿駅。埼京線とホームを兼用するが、同じホームから両方とも上下双方に向けて発車するため、紛らわしかった。2004年10月改正からは、埼京線の一部を除き、基本的に大宮方面に統一。

新宿駅にて。開業日の湘南新宿ライン(E231系)。

大崎駅では埼京線・りんかい線とホームを兼用。乗る列車を間違えると臨海副都心へ行ってしまう!?なお、写真のオール2階建ての215系は、朝のライナー運用を除けば同線から撤退。
新宿駅にて。2004年10月改正より一新された列車案内装置。埼京線と競合する(?)大宮への先着列車も表示される。

路線配置が大改良され、同方向を走る埼京線と同一ホームで乗り換えられるようになった湘南新宿ライン。なお、右の211系は、現在は湘南新宿ラインを走らない。

池袋駅にて。湘南新宿ライン開業後、しばらくは従来からの新宿以北で活躍していた115系も東海道線まで顔を見せていた。

池袋駅にて。湘南新宿ライン開業前から、特急「成田エクスプレス」は新宿経由で大宮まで乗り入れていた。

馬車道や中華街など関内地区の中心と直結することで、湘南新宿ライン(+JR根岸線)に対して、新たな競争力を付けた東急電鉄。しかし、横浜までは従来通りだが、その先の運賃が高くなってしまった。
●はじめに
 そんなわけで、湘南新宿ラインです。
 今ではすっかり定着し、当たり前のように利用されるようになってきましたが、開業した時には大きなインパクト。なにしろ、それまでは新宿を経由して北関東と南関東を結ぶ路線はなかったのです。

 長らく東京駅を起点とする東海道線と、上野駅を起点とする宇都宮線(東北本線)&高崎線の直通運転が考えられてきましたが、なかなか実現の見通しはなく、なんと新宿経由という裏テクが誕生したわけです。

 と言っても、実は以前より少数ですが東北線(宇都宮線)&高崎線から新宿に来る列車はありましたし、特急「成田エクスプレス」や朝のライナーなどで、一部列車では東海道線方面から新宿に来る列車は存在しました。

 そんなわけで、決して何か新しい線路を建設したわけではありません。
 今まで貨物用に使っていた路線と、埼京線・横須賀線の線路を活用したわけです。で、これにより高崎発平塚行きなんて列車も登場。

 下関発岡山行きだとか、姫路発長浜(滋賀県)行きなんてざらにあるJR西日本では、こんな長距離の列車は珍しくありませんが、東日本(首都圏)では珍しいこと。また、あくまで東海道線と宇都宮線などを直通する列車、と言う意味合いから、湘南新宿線とはならず、「ライン」となったのも特徴の1つです。ただ、英語にすると関係ないのですが・・・。

 なお、開業時には所要時間が新宿〜横浜間が最速29分と、従来より11分ほどの短縮(従来の品川での乗り換え時間等を除く)。2004年10月改正からは特別快速(小田原〜高崎 データイム毎時1本)も運転され、同区間は最速で27分となっています。

 使用車両ですが、2004年10月改正からは新型のE231系に統一。
 それまでは、211系やオール2階建ての215系E217系などとバラエティーに富んでいたのですが、ちょっと残念。また、同改正より全列車に2階建てグリーン車2両が連結されるようになりました。

 ちなみに開業日の乗客の関心ですが、実際に乗車してみると歓迎の声一色で、早速多くのビジネスマンや観光客に利用されていました。すごい!と歓喜の声も。一方で、様々な路線と直通しているため、今自分が乗ろうとしている電車が、どこに停まるのか解らず混乱している人もいました。駅の案内板を見れば、きちんと載っていますが、なかなか見ないもので、池袋停まりますか?所長に聞いてきたオバサンもいました。あ、いえ、お姉さんです。

 それから3年経ったわけですが、そろそろ湘南新宿ラインの仕組みは定着したでしょうか。乗客数も、開業日にはまだそれほど多くはありませんでしたが、見る見る増加しており、今ではごく一般的な路線の1つとなっています。

●転機を迎えた04年10月改正
 既に度々出ていますが、2004年10月の改正が特に湘南新宿ラインにとって大きな変化をもたらしました。

 JR池袋駅で、分岐する埼京線との立体交差工事が完了したため、列車の増発が可能になったのです(詳しくは、こちら)。そのため、これまでの本数から1.5倍以上に増えた上(10時〜21時台まで、上下線とも約15分おき ラッシュ時はさらに多く)に、それまで池袋や新宿折り返しなどが残っていたのが一掃。全て東海道・横須賀線から宇都宮(東北)・高崎線へ直通運転をするようになりました。

 また、先ほどの池袋駅大改良で、ダイヤ改正前より同駅では同方向を走る埼京線と、同一のホームで乗り換えることが可能に。このため、例えば池袋から新宿行くときに、湘南新宿ライン、埼京線、先に来た方の列車に乗ることが簡単になりました。

 ダイヤ改正時には新宿駅でも一定の改善がなされ、同一ホームから路線、上下バラバラに発車していた物が、原則として湘南新宿ラインは1番線から横浜方面、4番線から大宮方面と統一されました。

 また、先ほどのように特別快速が高崎線直通列車に登場。
 さらに、使用車両の統一によるスピードアップが実施されています。

●迎え撃つ東急電鉄
 北関東、新宿から横浜、さらにはその先まで乗り換え無しでいける「湘南新宿ライン」開業により、渋谷〜横浜〜桜木町でJR東日本と競争していた東急電鉄が巻き返しを迫られることになりました。幸い、それからしばらくして横浜高速鉄道「みなとみらい線」(横浜〜元町・中華街)が開業し、これに直通を開始。

 従来の横浜〜桜木町よりも、より横浜関内地区の中心と直結することになり湘南新宿ラインとより激しい競争をしています。さらに、池袋〜渋谷には東京メトロ13号線が開通予定で、東急はこれにも乗り入れる予定。湘南新宿ラインも、さらなる増発など、また次なる一手が望まれるかも知れません。

 もっとも、湘南新宿ラインの場合は、すでに埼京線との線路の共用、「成田エクスプレス」「スーパービュー踊り子」などの特急電車の運転、さらに従来の東海道本線、宇都宮線(東北本線)・高崎線に直通する関係で、こことの調整も難しく、どこまで新たなる付加価値を付けられるかが見ものです。

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