クラス456 

British Rail Class 456


サウス・ウェスト・トレインズ(SWT)所属のクラス456。
(撮影:アッシュ駅、Ash Station)

●基本データ

デビュー年 1991年
最高速度 120km/h
製造会社 イギリス国鉄鉄道工学部門ヨーク工場
(British Rail Engineering Limited, BREL York)
運行会社 サウス・ウェスト・トレインズ(South West Trains, SWT
運行区間 ●ギルドフォード(Guildford)〜アスコット(Ascot)
●ラッシュ時にはSWTクラス455と併結し同じ区間を走行
編成詳細

クラス456 2連x24本


●列車の長さを柔軟に設定できるミニ電車

 1990年代初頭に導入された直流型電車で、マーク3客車の車体を元にデザインされた通称「マーク3ファミリー」の一員。マーク3ファミリーは鋼製の車体で他にも設計元となったクラス321電車やクラス150気動車が存在する。

列車運用に柔軟性を求めた国鉄
 1991年にイギリス国鉄がロンドンとイングランド南東の路線を管轄下に置くネットワーク・サウス・イースト(Network SouthEast, NSE)に24編成を自社の工場に発注。4両単位の電車が主体であった地域に2連の車両を導入し、従来の4連、8連、12連の列車に加え2連、6連、10連の列車を運行できるようにすることで、需要への柔軟な対応を可能にすることが目的とされた。NSEは元々これらをロンドン近郊南西部の路線に使用する予定だったが南部中央で未だに現役だったクラス415や416の置き換えを優先すべく、そちらに配備された。

 同年9月から営業運転に入ったものの初期不良が多く運用に困難を極めた。クラス456の運転室の側面窓からはワンマン運転用のホームの昇降監視モニターが見えず、運転席の座面が横にスライドするよう改造工事が必要になった。更にトイレ用の貯水槽にはヒーターが備わっておらず配管の氷結による破裂が生じることが発見され、電気系統の破損を防ぐため冬季期間はトイレが使用不可にされた。他にも連結器などに不具合が生じ、一時期は分割併合が禁止された。

 クラス416の置き換えが遅れたが、車両不良は改善されロンドン南部近郊路線で使用された。クラス455と併結して頻繁に運用され、クラス456も最大3編成を繋げて6連で走った。

民営化後の動向
 国鉄民営化後1996年5月にコネックス・サウス・セントラル(Connex South Central)がクラス456を引き継ぎいだ。2001年8月からはゴヴィア社(Govia)がフランチャイズの運行権を獲得し、運行会社はサウス・セントラル(South Central)に更新。2006年4月からはサザン(Southern)に改名し、2005から2007年にかけて大幅な改装が施された。塗装はサザンの緑を基調にしたものに変更され、車内では座席と床が一新され防犯カメラも新設。定員増加のためにトイレも撤去され、車椅子用のスペースも設けられた。

 サザンのロンドン・オーバーグラウンド(London Overground)への一部路線管理の移行とクラス377/6の導入により、クラス456は余剰となり、サウス・ウェスト・トレインズ(SWT)への転属が2012年8月に決まった。2014年3月からSWTでの運用が始まり、クラス456をラッシュ時の輸送量増加に充てると共にギルドフォード〜アスコット線のクラス458を置き換え、それらをより需要の多い路線へ回す事が可能になった。2014から2015年にかけてクラス456は小規模の改装工事を受け、SWTの赤い塗装に更新された。

クラス456の仕様
 2連の1M1T構成(Tc-Mc)で動力先頭車は一つの台車にイングリッシュ・エレクトリック製の507型吊り掛けモーターが備わっている。これらはクラス455に搭載されているものと同様で1940年代に導入されたクラス405から再利用された。GTOサイリスタを使用したチョッパ制御を採用。車両設計はクラス321を元にしているがクラス455との併結に必要なジャンパケーブルやブレーキホースが車両前面に増設されたため印象が異なる。これらが連結時に接触しないよう連結器も延長された。

 車内は全車普通車。登場時は2+3列配置だったがSWTの改装時に2+2列に変更。

(解説・撮影:秩父路号、2016年3月更新)

●ギャラリー


旧サザンのクラス456。現在は全編成がSWTに所属している。
(撮影:イースト・クロイドン駅付近、East Croydon)


サザンが運用していた頃は3編成が併結して運行される事もあった。
(撮影:サウス・クロイドン駅付近, South Croydon Station)


電車内の防犯カメラ設置をPRする旧サザンのラッピング車。
(撮影:バタシー・パーク駅、Battersea Park Station)


サザンが運用していた頃でもクラス455/8(右)との併結運用はあった。
(撮影:ロンドン・ヴィクトリア駅, London Victoria Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
・Today's Railways: Issue 163 (July 2015)
Southern E-Group: Class 456

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